それは『賢人会議』の発言から数ヶ月後の朝の事だった。
ブリード・レイジは鞄の中に荷物を詰め込んでいた。所謂荷造りというやつだ。ちなみに、その殆どを衣類が占めている。
せわしなく動いているために、額に汗が滲んでいる。作業開始から三十分、あらかたの荷造りは完成し、作業終了まで後一歩といったところか。
「うー、ブリード〜、朝からうるさいよ〜、どうしたの〜」
…少し離れた部屋のミリルが起きてしまったようだ。流石に音が大きかったらしい。
脳内時計は『06:32:31』を告げている。普通に起きるよりおおよそ一時間は早い。
「よっ、おはよ」
ミリルの方を振り向いたブリードは、開いた右手を上げて挨拶。
「おふぁよ…」
ミリルは眠たげに目をこすって、欠伸交じりの挨拶を返す。
今のミリルの姿は、一見すると薄紫色のネグリジェっぽいが、上下が一体化していてあっちこっちにフリルがついていて厚手である事から、ネグリジェとは微妙に異なるだろう。かといって、その服をどう形容したらいいのかなんてブリードに分かるわけもなく、結果『厚手で上下の繋がったスカートっぽいパジャマ』という結論付けをしている。
因みに、ブリードは既にいつもの服に着替えていた。この世界の温度情勢を考えるとやや薄手と言える服だが、ブリードは自分の周りの温度調整が可能なために、それほど気にならない。
「…って、ブリード、なんで荷造りなんかしてるの?」
互いの挨拶が終わってから数秒の時を得て、やっと目を覚ましてきたらしいミリルがきょとんとした顔で問うた。確かに、ブリードが朝から荷造りなんていう奇行に出ているのを見れば、疑問の一つや二つはわくのが普通だろう。
それに、今日は外出の予定なんて一つも入っていない。そもそも、そんな予定があったなら昨日の内に知らされているだろうし、ミリルだって寝る前に荷造りの準備をしている。
ブリードはふう、と小さく息を吐いて額の汗を拭う。
「…んー、もうちょっとたったら説明するから、まず着替えてきてくれねーか」
ブリードの言葉には若干の違和感があり、無論、彼自身もそのことに気づいていた。が、幸か不幸か、寝起きで頭の回らないミリルにとって、それはさほど重要なものとは認識されなかったらしい。
「んん〜、分かった…ふわぁぁ…」
欠伸をすると、ブリードに言われたとおりにミリルは自室へと向かっていった。
(…びっくりするだろうな。この後、いきなりこんな事聞かされたら…)
この後起こるであろう『これから』を考えると、ブリードの気持ちが少し重くなる。
だが、こうなってしまった以上退くわけにはいかない。
これは、数日前から考えていた事なのだから。
「で、どうして今朝からあんな荷造りなんかしてたのよ?」
椅子に座り、両腕を組んでブリードに疑問をぶつけるミリル。はたから見れば、遅刻した彼氏に遅刻の原因を問いただす彼女のような状態だ。
今朝と違って意識はしっかりと覚醒している様子。まあ、これから話す内容を考えると、寝ぼけた頭で聞いてもらうのは困るものなのだから、こうあってくれたほうが都合がいい。
…だが、いざ話すとなると、その内容が内容なだけに結構切り出せない―――とはいえ、このまま黙っていても話が進まないのもまた事実だし、この事はミリルにも知っていてもらわねばならない。
少しの間を置いた後に、ブリードは思い切って口を開いた。
「――――――――――――え!?」
何を言われたのか分からない、という感じのミリルの反応。だが、常識的に考えればそれは無理の無い事だろう。
そう『賢人会議』といえば、つい先日世界規模で大変な宣言をした組織の事だ。
その放映は全世界に及び、内容はといえば、シティがこれまで必死に隠蔽してきた事実を暴露するというものであった。但し、マザーコアの正体については詳しくは語られておらず、シティに住む一般の人々はその事実を一切知らない。もしシティの住民がマザーコアの正体についてまで聞いていれば、今頃は目の色を変えての大騒ぎになっているはずだ。
加えて、その後に出て来た謎の少女の発言によって、状況はますます混乱している。
ブリードはミリルに何の相談もなしにそんな組織に亡命しようというのだ。当然ながらミリルが納得するわけがない。
「ちょ、ちょっと!私に相談も何もしないでいきなり何を言うのよブリード!
今朝から荷造りしていて、しかも『賢人会議』に亡命って…やってる事がめちゃくちゃじゃないの!」
はたから見ても分かるようにミリルは怒っている。否、寧ろこんな事を言われて怒らないほうが凄いだろう。
だが、この行動は、ブリードがきちんとした考えをもった上での行動。ミリルの理解を得る為に、それを口に出す。
「俺だって散々考えたさ。
だけど、より安心するなら、やっぱり『賢人会議』に居たほうがいいって思っただけだ!『賢人会議』は魔法士の人権を第一に考えてくれてるから、きっと大丈夫だと思ったんだよ!」
だが、ミリルは納得がいかない様子で言い返した。
「わかんないよ!
どうして『賢人会議』に居る事が安心に繋がるの!?そこを分かりやすく説明してよ!」
普段のミリルなら絶対に言わないであろう強い口調。
さすがのブリードも一瞬気圧されたが、それでも、ブリードはブリードの主張を通す。
「マザーコア候補に選ばれたミリルなら分かるはずだろ!マザーコアにされた魔法士がどうなるかって!!
意識と記憶を奪われて、シティを動かす為の原動力にされちまう!
俺達はそんなのが嫌だからシティ・モスクワから逃げた!そして今があるんだ!」
「そ、それはそうだったよ!
でも、どうしてこのままじゃ駄目なのよ!このまま此処に入れば、ずっと見つからなくて済むじゃない!」
「ああ…確かにそうだ!
だけどよ…万が一って事があったらどうするんだよ!
シティ・モスクワの連中に俺達が生きてるって嗅ぎつけられたら、もう終わりなんだ!だけど、『賢人会議』に居れば嗅ぎつけられる事もない筈なんだよ!」
「…う、そ、それは…」
此処まで来て、初めてミリルの口調が弱くなった。
そこで一気に押し切るために、ブリードはさらに言葉を続けた。
「マザーコアなしで人間達が生きられるわけがない!だけど、その為に魔法士が犠牲になっちまう!そうなれば、理不尽にその命を奪われる魔法士達がどう動くかなんて決まってるだろっ!
きっと今頃、魔法士達が『賢人会議』に向かってってる!なら、『賢人会議』に向かえば、きっと俺達だって保護してもらえるはずだ!」
「ま、待ってよブリード!私が言いたいのはそういう事じゃなくて…も、もう知らない!」
そして、ここでミリルが予想外の行動に出た。
なんと、椅子から立ち上がり、家の出口の方まで駆け出してしまったのだ。
なんというか、姑に怒られて実家に帰る嫁みたいな、そんな感じだな…と、そのうしろ姿を見たブリードは、一瞬だけそう考えてしまった。
「…って、んなこと考えてる場合じゃねぇっての!待ってくれ、ミリル!」
頭を振って考えを打ち消し、我に返っったブリードは即座に立ち上がって駆け出し、ミリルの後を追う。
ミリルが入り口のドアを開けて数歩走ったところで、ブリードはその細い右腕を掴んだ。
「待ってくれってば!」
「待たないもん!『賢人会議』に行く人の事なんて待たないもん!!」
「お、俺はお前の為を思って『賢人会議』に行こうって思ったんだぞ!」
そこで、ミリルがブリードの方を振り向く。その瞳が静かに怒っていた。
「なら、行く行かないは別問題として、どうしてその事を私に話してくれなかったの!どうして黙ってたの!」
「…そ、それは…」
そこを突かれると、ブリードも反論に困る。
ただ、ミリルが心配だったから、といえばそれが真実なのだが、それならば、より、ミリルにこの事を話しておく必要があったのだ。
そう考えると、ブリードの心の中に冷静さが戻ってくる。
そもそも、今回のこの行動の始まりは、ブリードが毎晩考えていた『ミリルの安全』についての結論が、昨日になってやっと出たことにあるのだ。ミリルにとって最も安全なのは『賢人会議』なのではないのかという思いから、ブリードは突発的な行動を起こしてしまったのである。
しかしそれがすれ違いを産み、今、朝一番から家の外で痴話喧嘩する羽目になっている。
…これは、早いところこっちから折れたほうがいいかもしれない。そして、落ち着いた上で改めて話をしたほうがいいという結論に達する。
『俺が悪かった。だから落ち着いてくれ』
これだけで、この状況を変えることは出来るだろう。
ブリードは小さく息を吸い、その言葉を口にしようとして、
―――突然響いた声に、邪魔された。
「だ、誰…誰なのあれ?」
「お、俺も知らないぞ、あんなの…」
振り向いたブリードとミリルの前には、一人の人間が立ちはだかっていた。
全身を青いローブで覆い、フードで顔を隠している。
行動を起こそうとした矢先に、突然話に割り込んでくるような形で現れた赤の他人から一方的な発言をされ、ブリードの頭に血が上る。
「―――そんなこと、出会ったばっかりで赤の他人なお前に答える必要があんのかよ。どこに行こうが、俺達の勝手だろ」
敢えて強気な態度で答えておく。そして、ブリードがミリルの方へと向き合い、先ほど告げようとした言葉を口から紡ぎだそうとした刹那、フードの人物が口を開いた。
「…あなた達の行き先は『賢人会議』でしょう?」
淡々とした感情の無い声。まさに図星の一言だった。
声の質から、そいつが女性だという事がかろうじて分かった。
「―――なっ!?」
「誤魔化しが通じると思って?さっき、思いっきりその名前を口にしていたじゃない」
「…聞こえてたのかよ」
「あれだけ声が大きければ、否応無しにでも聞こえるわ。
…答えなさい。あなた達は『賢人会議』を倒しに行くの?それとも『賢人会議』に亡命するの?」
核心をついた声に、一瞬、ブリードとミリルの反応が遅れた。
その『間』に気づき、その人物の口元に少しだけ笑みが浮かぶ。
そもそも、『賢人会議』という単語を迷う事無く紡ぎだして来たとなると、フードの人物は完全にブリード達の行き先を察知しているという事になる。
だが、そこまで考えて、同時に何らかの違和感を感じた。
単純な言葉の中に、何かしらの感情がこもっていると気づいたのだ。
始めこそ静かな口調だったが、言葉の終わりに近づくほどに、感情が段々と強くなっていく。
(この感覚は…あれか!!)
その時、ブリードは違和感の正体に気がついた。
口調の中に混じっていたのは、間違いなく怒気だ。
おそらくだが、目の前のフードの人物は『賢人会議』に対して何らかの快くない感情があるのだろう。でなければ、こんな風に突っかかってなど来ないはずだ。
しかし一方で、ブリード達とフードの人物は赤の他人であるというのもまた事実。何故人事にそこまで首を突っ込むのかという疑問が生じる。
「…その様子だと、答えは後者のようね。
―――だけど、そんな事させない!あなた達を止めてみせる!」
「おい、何を言って…」
ブリードの発言は、途中で遮られた。
瞬間、目の前にいた筈のフードの人物はブリードの背後へと出現。
背後から鋭い突きが放たれる。徒手空拳とはこのことか。
「…あっぶねぇ!このっ…やる気かよ!」
「ブリード!」
ミリルが叫ぶ。
刹那、周囲の『風』の情報が一変。
ミリルの『風使い』としての能力『
ブリードもまた自分のI−ブレインを起動させ
―――そして、戦闘が始まった。
風が舞い、ミリルの意思によって動きをプログラミングされた不可視の刃がフードの人物を襲う。
しかしフードの人物の口元に小さな笑みが浮かんだ。
「…不可視の攻撃ね。
けど、僅かな風の動きで攻撃の予兆がばれてたら話にならないわ。
まあ、風を使うという能力無数の都合上、それをせざるを得ないのが現状で、それはどうしようもないものなのかもしれないけど」
完全に不可視の筈のその攻撃は、フードの人物が最低限の動きをする事であっさりと回避されてしまった。
フードとローブがその人物の動きに完全に同調しているかのように、その人物の行動を制限しないようにたなびく。
そして、『無限の息吹』の弱点は、一度攻撃の指向性を与えたら、途中での軌道変更が出来ない事だ。それは、ミリル自身がよく分かっていた。
しかし、初見の相手にそれが見切られるというのは、予想外の範疇だった。
自分達の事を調べ尽くしてるのかもしれない…そんな不安が脳裏によぎる。
「ま、まだまだなんだからっ!」
しかしミリルも直ぐに落ち込むようなことはせず、寧ろ前向きな態度になっている。それは、心が負けたら本当の負けになるという事を理解しているからだろう。
フードの人物は「ふーん…」と小さく口にした後に、言葉を続けた。
「前向きなのは実にいい事。変に絶望する必要も無く、戦意を喪失せずに済む…だけど、残念な点が一つあるの」
少し口調が押さえられる。その正体は絶望か、それとも諦めを投げかけているのか。
「それは…圧倒的な実力差は、埋めようが無いという事!!」
刹那、フードの人物が動いた。
「拙いっ!離れろミリル!」
気づかぬうちに、ブリードは叫んでいた。
ミリルの能力は完全なる遠距離攻撃系。故に、近づかれてはその能力を殆ど発揮する事が出来ない。しかも相手のフードの人物は近接攻撃を得意としていると見て間違いない。
そうなれば、近づかれればミリルが不利なのは明確だ。
ミリルに近づかせまいと、次の瞬間には、ブリードがI−ブレインに命令を送っていた。
(『氷使い』常駐。
ブリードの額の裏側にシステムメッセージが表示され、世界が急激に速度を減じる。
運動速度と知覚速度の比率は一対四。自分の体までスピードを失ってしまったような錯覚。肌にまとわりつく空気がひどく重く感じられる。
だが、こんなのはもう慣れっこだ。
ブリードは嘗てシティ・モスクワのエリートと言うべき地位に就いていたのだから。
『舞い踊る吹雪』発動により、ブリードの周りに絶対零度の無数の結晶が出現。
絶対零度の結晶はブリードの周りをたゆたうようにワルツを踊り、マスターであるブリードからの命令を待っている。
ブリードが一つ命令を下せば、絶対零度の無数の結晶達はブリードが望む姿にその形状を変え、フードの人物に襲い掛かるだろう。
目を奪われる美しさと、それとは裏腹に極悪な破壊力を兼ね備えたブリードの奥義の一つ。
この絶対零度の無数の結晶から放たれた攻撃を回避できたものは、ブリードが覚えている限りでは殆ど存在しない。
この能力があったからこそ、ブリードはシティ・モスクワの最強の『氷使い』だと呼ばれていたのだ。
フードの人物にとっては初めて見るであろうこの能力。故に、攻撃されなければその能力の正体を掴めない筈だ。
(『舞い踊る吹雪』―――――――『
現実時間にして一秒足らずで具現化した、論理回路を刻みこんだ無数の氷の槍を飛ばす。勿論、ミリルに当たらないように計算はした上で狙いをつけて、だ。
フードの人物の喉の奥から『成程』という声が聞こえた。
刹那、ブリードの背筋に悪寒が走る。その正体は現状では掴みようがないが、とにかく、次に如何なる事が起ころうとも対処できるように備えておかなくてはならないという事を直感で悟る。
辺りを見渡しながら、常に周囲に気を配る。
そして現実時間で三秒足らずのうちに、その選択肢が正解だったという事を理解した。
―――フードの人物の姿が『槍』の攻撃範囲からかき消えて、その姿がブリードの真横から突如として現れた。
「…くっそ!やっぱりかよ!」
一挙動で『
見れば、フードの人物の右手にはナイフが握られている。おそらくだが、情報解体などの類のデバイスが埋め込まれているだろう。
そして、現実時間にして一秒とたたないうちに、ブリードの『氷剣』とフードの人物のナイフがぶつかろうとして、
「…なっ!」
ブリードは、己の目とI−ブレインを疑った。
ブリードの『氷剣』とフードの人物のナイフが接触しようとした刹那、目の前にいたはずのフードの人物の反応が唐突として消えたのだ。
「どこだっ!どこ行った!?」
『氷剣』を構えながらも、ブリードは左右を見渡す。無論、周囲に対して気を配ることも忘れてなどいない。
視界の中、おろおろと周りを見渡しているミリルの姿が目に入る。
現実時間にして二秒が経過。フードの人物は一向に姿を現さない。だが、油断などしたらその瞬間に攻撃が来るかもしれないという懸念から、ブリードは常に警戒を緩めない。
―――だが、警戒していても反応できないものは反応できないのである。人には出来る事と出来ない事があるのだ。
すぱっ、と音がした。
「…え」
ブリードの口からは、間の抜けた声が漏れた。
「――がっ!!!」
次の瞬間、ブリードは痛みに顔をしかめる。
I−ブレインのログを見てみると、何者かが突如として背後から現れて、ブリードの背中を切りつけたのだ。
幸いなのは、それほど深い傷ではないという事。だが、間違いなく出血している。
「きゃあああっ!ブリード!大丈夫なの?ブリードッ!!」
ブリードの傷を見たミリルが、慌てて駆け寄ろうとした刹那の事だった。
―――ミリルの目の前に、フードの人物が出現した。まるで、そのチャンスをうかがっていたかのように。
「ひっ…こ、来ないでぇっ!」
反射的にミリルは後ずさる。だが、フードの人物とミリルとでは、機動力に違いがありすぎた。
「遅いッ!」
フードの人物の掌が突き出された。
どん、という鈍い衝撃と共に、ミリルの体が跳ね飛ばされて、近くの建物の強化カーボン製の壁に背中から激突した。
「…か…あぅ…」
何かが胃から逆流してきそうな感覚を、ミリルは必死に押さえ込む。
鈍痛と痺れが背中からお腹へと突き抜けるような感覚。そのまま、強化カーボンの壁に背中を預ける形になる。
刹那、目の前にはナイフを握り締め、ミリルへと突撃を開始するフードの人物の姿。
「ひっ!」
何とか身をよじってかわそうとするが、その人物の太刀筋には迷いが無かったし、鈍痛と痺れのせいで、ミリルは思うように身体を動かせない。
一直線に飛んできた黒色の刃の先端がミリルの肩口に差し込まれ―――ないで、フードの人物の空いた左手がミリルの首元に回される。
一瞬だけ見たその手が、白くて小さい物だったと分かった次の瞬間、ぎり、と、喉を締め付けられた感覚が脳を駆け巡った。
刹那、ミリルの呼吸が止まる。
「ひ…ぃ…」
強い力で締め付けられている為に、思ったように声が出ないし、呼吸も出来ない。
「戦いとは実力の世界で、勝者が敗者を好きに出来る世界。
――なら、こうされても文句は言えないと思うけれど」
そんな中、フードの人物が冷たい声で言い放つ。
ミリルの首を掴んでいる手に、力が込められた。
「あ…か…くぁ…」
刹那のうちにミリルの表情が変わる。
片手だけで首を絞める。
ぎりぎり、という嫌な音が、ミリルの耳に入ってくる。
(ブリード、助けて…)
…ムシのいいことだと、ミリル自身でも思う。
さっきまではブリードと喧嘩してたのに、いざこうなると助けを求めてしまう。
弱いふりをしているつもりなんてないし、出来る事なら自分の力で解決出来るものは解決したいと思っている。
だけど…この場合は…ミリルの力ではどうにもならない。出だしから圧倒的に不利な状態に陥ってしまっては、切り返そうにも切り返せない。
(く…くるしい……)
思い通りに呼吸が出来ない。
喉に渇きが襲いかかるような、そんな感覚。
何とかして両手でフードの人物の手を離そうとしてみるものの、力が入らず、フードの人物の腕に触れるだけで終わってしまった。
(た…すけて…おねがい…だから………さっきの事…謝るから………)
朦朧とした意識の中、懇願するような瞳には、少し遠くに居るブリードの姿が歪んで見えた。
「―――このやろう!ミリルを離しやがれ!」
怒りを隠すことなく、ブリードは目の前にいる人物にくってかかる。
背中の出血は未だに止まらないが、そんなものに構っていられない。
(…くっそ、いてぇ!マジでいてえ!
だけど、こんなところでへこたれてなんて居られるかよ!)
ブリードのふがいなさのせいでミリルが痛めつけられたという事実が、ブリードを突き動かしている。
あの時ブリードが反応できていればこんな事態は回避できたのではないのかという、強い思い。
ブリード達とフードの人物とでは力が違いすぎる。それは確かだ。現に、現実時間にして数分足らずでこんな状況にまで陥らされている。
なぜここまで力の差がある相手が、今こんなところまで来ているのか…そんな疑問は後回し。
刹那、フードの人物が、ふらつく足で立ち上がっているブリードに対して視線を送ってきた。
「…あなた達は今ある平穏をかみ締めておくべきだと思うの。そうするって誓うなら、この子を離してあげる」
「の、能書きなん…い、いらないっ!
しょ、勝負はついてる…こっ、殺すなら…殺せばいいじゃないっ!!」
気丈に叫んだミリルの肩は震えていた。
だけどそれでも、目の前に迫る死の恐怖に対し、精一杯の勇気を出して、涙で潤んだ目が屈するまいと相手をにらみつける。
フードの人物の唇が、ふ、と緩んだ。
「―――そんなことしたら、シティや『賢人会議』のやっていることとなんら変わらないわ。
だから、無益な殺戮なんて行わないわ。
…だけど、これだけは覚えておいて。もしもまた『賢人会議』に亡命するような事があれば、容赦なく殺してあげるから」
「な…!!てめえ、俺達を見逃そうってのか!?」
頭に血が上るのを、ブリードは感じた。
圧倒的な力の差を見せつけられて、しかも止めをささずに去っていくというのだ。
屈辱。戦う者として、これ以上無いほどの屈辱。
だが同時に、フードの人物の言っている事が気になった―――シティや『賢人会議』のやっていることとなんら変わらない、という発言だ。
「…さあ、『賢人会議』への亡命を諦めるの?どうするの?」
ぎり、と、フードの人物がより一層手に力を込めた。
「あぎっ!」
ミリルの顔がさらに苦痛に歪んだ。
―――もう、限界だった。
「…ああ!約束する!
『賢人会議』への亡命は諦める…だから、ミリルを離してやってくれ!この通りだ!」
ブリードは『氷剣』を解除し、I−ブレインの戦闘起動も全て強制終了させた後に両手を頭の上に上げて、これ以上の戦闘の意思の無い事を告げた。
「分かってくれれば、それでいいわ」
土下座を見届けた後、ふぅ、と軽く息を吐いたフードの人物は、ミリルの喉から手を離した。
同時に、ミリルは喉を押さえて激しく咳き込み、肺へと酸素を送り込む。
「…そもそも、あなたたちも考えてみなさいよ。
全ての魔法士が『賢人会議』にそう簡単についていくと思う?中には、自分の未来を分かっていて、それでも尚シティに残ろうとする魔法士だっている筈よ。
そして、軍やシティの人たちだって、生きるのに必死。だから、『賢人会議』に亡命しようとする魔法士達を絶対に逃さない筈。
そうなれば戦いが始まるわ。『賢人会議』とシティの大きすぎる戦いが。
あなた達は、そんな中に身を置く心算なの?」
「んな事くらい分かってる!!」
ブリードの叫びが、フードの人物の言葉を強引に遮る。
「だから、俺達は『賢人会議』につこうと思ったんだよ!
ミリルは過去にマザーコアにされそうになった経歴がある!だけど『賢人会議』にいれば、そんな事は絶対に起こらねぇ筈だ!
俺達はシティ・モスクワでは死んだことになってる。だけど、もしかしたら何らかの拍子で俺達の生存がばれちまうかもしれねえ!!その前に安全を確保しようとした!!それだけだ!」
「不安要素を無くすために、『賢人会議』に逃げ込むって事?
…なら聞くけど、自分が先ほど言った『大きすぎる戦い』の意味を分かっていて、あなたはそれを言っているの?」
「んなの…」
と言いかけて、ブリードは口をつぐんだ。
その事実に気がつき、顔が青ざめていく。
「…おい、まさか、そういう事…なのか…?」
背筋に悪寒が走し、全身を寒気がかけめぐる。
「…どういう…こと?」
痛みで思考能力が低下してしまっているのか、答えにたどり着けなかったミリルが、小さな声で疑問を口に出す。
「説明してあげる」
ため息の後に、その人物は続ける。
「『賢人会議』は如何にも大層な名前だけど、その首謀者はたった一人…サクラ。
魔法士の人権の尊重を認めさせて、魔法士達の楽園を作ると言って、何万人もの無抵抗な人間達を虐殺した殺人鬼…って、自分は聞いたわ。
そして『賢人会議』にその身を置いているのは、サクラを含めて四人―――天樹真昼。デュアルNo.33。セレスティ・E・クライン。後の戦闘員は現地調達。
―――対して、相手はシティの軍隊。つまり、数の勝負では『賢人会議』が明らかに不利。あなた達はそんな戦いに身をおこうとしたのよ」
ブリードは、何も言えなかった。
二秒ほどの休憩の後に、さらに話が続く。
「さっきも似たような事を言ったけど、先日の『賢人会議』の話を聞いたからって、全ての魔法士がハイそうですかと『賢人会議』に逃げ込むとは到底思えないわ。
いや、寧ろ怪しむ魔法士だって多いはずよ」
「…」
ブリードは答えられない。
そう、フードの人物のいうとおり、魔法士全てが『賢人会議』に向かうとは限らない。寧ろ、今まで一般にはテロリストとして思われていた『賢人会議』の事を怪しく思う魔法士も十分に居る事が考えられるのだ。
焦りによる考えばかりが先走り、そんな基本的なことすら忘れていた事に今更ながら気づかされる。
「…もしあなた達が『賢人会議』に入れば少しは『賢人会議』が有利になるかもしれない。あくまでも『少しは』だけど。
…だが、その時は自分があなた達の前に立ちふさがるわ。
言っておくけど、その時は手加減も何も無しで、二人とも殺させてもらうわ」
『少しは』の辺りから、その人物の声に怒気が孕み始めていた。
殺させてもらうわ、という言葉に、ミリルの体がびくんと震えた。
つまり、次なんて存在しない。
勝てるか勝てないかと言われたら『勝てない』としか言いようが無い。
そもそも、最初から全力で挑んだこの戦いが勝てなかった。
加えて、目の前のフードの人物の能力が分からない。否、能力を解析する前に押し切られてしまった。
さらに目の前のフードの人物は、次に出会えば殺すとはっきりと公言した。これは次が無いという事になる。
「あなたにも大切なものがあって、あなたはそれを守ろうと思った。そこに免じて、今回は見逃してあげようって思った。
だけど、その為に『賢人会議』には亡命しようなんて考えないで。本当に守りたい者なら、大切な娘をわざわざ危険へとさらす真似はしないで」
「!!」
気のせい―――なんかではない。
フードの人物の瞳に、一瞬だけ、哀しみの色が混じっているように見えたのは。
「それに、『賢人会議』の言う事が現実になってみなさい。マザーコア無しでは、シティの人間達は一日足りとも生きられないのよ。
でも、そんな中でも自分達だけはその命を保とうとする…これは完全なる大量虐殺だわ。
魔法士の人権という名を借りた、人類への反逆行為。魔法士を実験動物扱いするよりもはるかに酷いわ。だから自分は『賢人会議』に就こうとする人が許せないの」
…フードの人物の言い分は、聞いていて筋の通ったものだと素直に思った。
そう、そうなのだ。
『賢人会議』のやろうとしている事は、今、フードの人物が口にした事と殆ど違いはない。人によっては解釈の方法に違いがあるのだろうけれど、少なくともブリードは、目の前のフードの人物と同じ意見を思った。
「あなた達の傷についてだけど、致命傷は避けておいた。
…自分の言いたい事が分かったなら、自分はここで退散させてもらう。
あと、そのくらいの傷なら、全治一週間はかからないと思う…そして、最後にこれだけは言っておくわ。
――――道を謝らないで…ブリード・レイジ、ミリル・リメイルド」
そういい残し、次の瞬間、フードの人物は風のように姿を消した。
後には、ブリードとミリル、二人だけが残された。
「…くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
ブリードは大地に拳を叩きつけ、吼えた。
悔しかった。
今までで一番悔しかった。
ミリルを守るどころか、正体不明の人物に傷一つ負わせる事すら出来なかった。
この戦い、ブリードは無力だった。
シティ・モスクワ最強の称号が、何の役にもたたなかった―――それが、そこにある事実だった。
部屋に戻ってきたブリードは、外傷のなかったミリルに怪我の治療をしてもらった。
あのフードの人物の事は、街の人達には言わない事にした。わざわざ騒ぎを大きくする必要もないだろうと考えての事だ。
「これでいいかな」
ぽん、と、ミリルがブリードの背中を叩いた。
「いってぇぇ!!」
で、ブリードは斬りつけられた訳だから、当然ながら痛みが走るに決まっている。
「勝手に行動を起こした罰!ブリードがあんなことしなかったら、こんな事にはならなかったんだからね!」
ぷう、と頬を膨らませるミリル。
ブリードとしては、それを言われると反論の為の言葉が見つからない。事実、ブリードの行動が今回の事態を招いたのは火を見るより明らかだからだ。
だが、頬を膨らませたミリルは、今度は顔を俯かせて、暗い声で言葉を紡ぎだした。
「さっき言ったよね。ブリードは、私の為に『賢人会議』に亡命しようとしたって…。
それは素直に嬉しかったよ。だって、私の事を思ってそういう行動にでてくれたんだから。
でもね…ブリードはよくても、私はどうなるのよ!!もし、ブリードがいなくなったら、私は…私はどうすればいいのよっ!!」
「………」
悲痛なミリルの声に、ブリードは返すべき言葉を失う。
「もしあの人が手加減してなかったら、ブリードは死んでたかもしれないんだよ!そうなったら、私はどうすればいいのよ!
―――お願いだから…私を置いていかないでよぉ…」
泣き崩れたミリルの体が、ブリードに寄りかかってきた。
それを見て、頭が急速に冷えていく。
「…ミリル、俺…」
今までごちゃごちゃだった思考が、ゆっくりとまとまっていく。
今回、あのフードの人物が自分達を見逃したのは『賢人会議』に亡命なんてするなという一種の警告だと見て間違いない。もちろんその理由は未だ分からない。
そして、ブリードが知っている限りの情報でも、シティ側にイルが所属しているのは事実。
―――そう、そうなのだ。
もしブリードらが『賢人会議』につけば、イルとは間違いなく敵対する形になる―――果たして、イルはそれを望むだろうか。
(………俺のバカ野郎!)
ブリードの心の中で、ブリード自身に対する怒りがこみ上げる。
ブリードはただ単に、ミリルが安心してすごせる場所を作りたいと思っていた。だから『賢人会議』に亡命しようと思った。
だけど今となっては、それはとても危険な博打だと脳が理解してしまった。
そして、イルがシティ側に属している事を忘れていたという事実が、それをさらに裏付ける。
今までは、なんとか生き延びてこれた。堕天使と化したシャロンとの戦いでも、かろうじて生き残れた。
だけど、これからの戦いでは、無事でいられるという確たる保証は無い。
もしあのまま『賢人会議』に亡命すれば、世界を相手に戦うことになってしまっていた。
そうなれば…無事でいられる保証なんて無い。否、寧ろ命を落とす可能性の方が遥かに高い。
このままひっそりとここで過ごすか、それとも、思い切って『賢人会議』に属するかと聞かれたら…間違いなく前者の方が危険度は低い。そもそも、出ない杭は打たれないのだから。
(…そうか、そうだよな)
一つの決意が、胸の中で固まる。
泣きじゃくるミリルの涙を指で拭った後、ブリードはゆっくりとその言葉を口にした。
「…ミリル、このままここに居よう」
「………」
目元から流れる涙を拭いながら、僅かに口を空けた状態で、ブリードの顔を見上げるミリル。
「この街なら、しばらくは安全に過ごせるって思うし、いざ危険になれば逃げればいいだけだ」
こくこく、と、ミリルは無言で頷く。
「それと…俺、馬鹿だった。
シティ・モスクワに居た頃みたいに、ミリルをマザーコアにされるって言う不安から逃げたいために『賢人会議』に亡命しようって思っちまった。
けど、今朝の件で分かったんだ。そっちの方がさらに危険だって」
ずきり、と腕が痛んだ。
腕だけではない。あのフードの人物によって刻まれた打撃のせいで体中が痛い。
だけど、この傷の痛みは一時だ。時が来れば、いつか必ず完治する。
だが、大切なものを失った傷は一生残るだろう。
その大切なものがミリルだという事は、脳内で分かっている。
今でこそ彼女はここに居てくれるが、もしもの事があって、あっさりとその姿が、その存在が消えてしまう可能性も否定できない。
人の命なんてとても脆いもの。
失うのは一瞬、そして喪失は永遠。
いつかは等しく寿命が訪れると知っているけれど、それは出来る限り遅いほうがいい。だけど、志半ばで死んでいくような事だけは絶対に嫌だ。
シティ・モスクワの連中に
「…だから、ここでゆっくりと過ごそうぜ。俺はもう、どこにも行かないからよ…」
「―――ブリードっ!」
刹那、ミリルの体が動いて、
そしてブリードは、胸の中に飛び込んできた少女を優しく抱きしめた。
ただ、大切なものを守る為の、譲れない戦いの時以外は―――と、付け加えて…。
―【 おまけどころじゃない存在感になっちゃってるらしいキャラトーク 】―
ノーテュエル
「あらら…ブリードとミリルは戦線離脱か…」
ゼイネスト
「…まあ、これから聖騎士とか闇使いとか、やばいのがどんどんと出てくるだろうからな。
この二人じゃ、そんな高レベルの戦いについていくなんて出来そうにないだろう。だから、この辺りで戦いから退かせる事が大事なんじゃないのか?」
ノーテュエル
「一理あるわね」
ゼイネスト
「…まあ、元ネタ(?)はローゼンメイデントロイメントなんだがな」
ノーテュエル
「ローゼンが!?なんでまた!?」
ゼイネスト
「分かりやすく言うと『最後には戦える奴しか残らなかった』って事だ。
現に、第11話終了時(全12話構成)で残ったのは真紅・水銀燈・薔薇水晶の三人だけだっただろ」
ノーテュエル
「ちょ、それはローゼンメイデントロイメントのネタバレじゃないの!?」
ゼイネスト
「ま、そうなんだがな」
ノーテュエル
「ま、それはひとまず置いておいて…。
とりあえず、誰か呼びましょ」(ぽちっ)
イントルーダー
「―――俺の名を言ってみろっ!」
クラウ
「イントルーダー」
イントルーダー
「なぜだ!」
ゼイネスト
「お前はジャギ(北斗の拳に登場する有名な汚物の事)か!」
イントルーダー
「何、ちょっとした余興だ」
クラウ
「余興…ね」
ノーテュエル
「一瞬何事かと思ったわよ」
クラウ
「まあ、本編でもとんでもない発言するようなイントルーダーの事だもの。慣れないと苦労するわよ」
イントルーダー
「ん?俺は何か『とんでもない発言』でもしたか?」
クラウ
「…『DTR』の九話目を読み直しなさい!」
ノーテュエル
「どれどれ…。
―――あ、これね^^;」
ゼイネスト
「いくらなんでも『責任を取らせてもらう』はないだろ…」
イントルーダー
「ん?そういう場合は男らしく責任を取るのではないのか?」
クラウ
「取らなくていいわよ!」
イントルーダー
「で、今回ブリードとミリルを襲った奴は、一体何者なのだろうな?」
クラウ
「んー、ブリードとミリルの正式な名前を知っているってのが鍵だと思うけど」
ゼイネスト
「そうなると限られてくるんだが…しかし、あのような戦い方には心当たりが無いぞ」
ノーテュエル
「文面から察するに、何か物凄く早く動いているような印象を受けるのよね。『騎士』なのかな?」
イントルーダー
「断言は出来ないが、それに近いものだと思うな」
クラウ
「ええ、それもかなりのてだれだと思うわよ。たった数分で決着がつくんだから…或いは、ブリード達とは物凄く相性が良かったっていう可能性もあるわね。
シャロンの場合は、シャロンがそこまで戦闘経験あったって訳じゃないから生き延びれたのでしょうけれど」
ゼイネスト
「しかし人数が多いから会話が大変だな…」
ノーテュエル
「どうだっていいじゃない、そんな事」
ゼイネスト
「いいのかよっ!」
ノーテュエル
「キャラの多さは今に始まった事じゃないしね」
イントルーダー
「うむ、その通りである。
これこそが本作の特徴なのは、今更説明もいらないだろう」
ゼイネスト
「…ま、いっか。
で、後はこの後がどうなるかが楽しみだな」
クラウ
「ええ。因みに、次は私達の話みたいよ」
イントルーダー
「そこで何気なく主張とはな」
クラウ
「いいじゃない。どうせキャラトークの最後には言わなくちゃいけないことなんだから」
ノーテュエル
「反論を封じてるわね〜」
クラウ
「ふ、反論とはされる前に封じるものよ」
ゼイネスト
「正論のように聞こえるが…何か引っかかるな。
…って、それ以前に脱線してるじゃないか!話を戻すぞ!」
ノーテュエル
「ちっ、気づいたか。
もうちょっとこの空気を楽しみたかったのに」
ゼイネスト
「楽しむな!」
クラウ
「でも、これ以上語れることってあるかしら?」
イントルーダー
「まあ、なんというかアレだな。
愛は何よりも強い…そういう事か」
ノーテュエル
「愛するミリルの為なら全てを捨てちゃうブリード!素敵な響きだわ〜」
ゼイネスト
「…とまあ、纏めるとそうなるわけだ」
クラウ
「随分と短くなったわね…」
イントルーダー
「しかしまあ、これ以上語る事は現段階では無いだろう。
この辺でお開きにしないか?」
ノーテュエル
「よし来た。んじゃ次回は…」
クラウ
「『矛盾』ね」
イントルーダー
「という訳で、お疲れ様でした」
ノーテュエル
「最後のいいところを横取りするな〜!」
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Moonlight butterfly
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